全球団から本塁打
全球団から本塁打(ぜんきゅうだんからほんるいだ)は、あるプロ野球リーグに加盟する全ての球団から公式戦で本塁打を記録することである。
日本プロ野球
日本野球機構(NPB)に加盟する全12球団[注 1]と公式戦で対戦し、それぞれの球団の投手から本塁打を記録する。
その選手自身の所属する球団から本塁打を記録することはできず、記録を達成するにはNPB他球団への移籍が必要である。加えて2005年にセ・パ交流戦制度が導入される以前は別リーグ球団との公式戦がなかったため、セントラル・パシフィックの各リーグで2球団以上所属(最少3回の移籍)する必要があった。同制度が導入されてからはリーグを問わず2球団以上所属(最少1回の移籍)すれば達成できるようになり、それ以前と比べると達成者が大幅に増えている。
達成者
セ・パ12球団制となった1958年以降、2024年6月16日現在の達成者は46人(大阪近鉄バファローズ・東北楽天ゴールデンイーグルスを含む13球団からの達成者は8人)である。このうち、セ・パ両リーグに2球団ずつ所属して達成したのは江藤慎一、富田勝、加藤英司、中村紀洋の4人である(中村以外の3人はセ・パ交流戦導入以前の記録。中村はセ・パ交流戦導入後だが、同一リーグ間の対戦のみで全球団本塁打を達成している[注 2])。
- ◎は、大阪近鉄バファローズと東北楽天ゴールデンイーグルスを含む13球団から本塁打を記録した選手。
- ◎の表記のない選手は、達成時の既存12球団から本塁打を記録した選手。
- ▲は、2004年以前より現役で、かつ公式戦では近鉄との対戦機会がないか、近鉄から本塁打を記録していない選手。
- 選手名の太字表記は2023年1月現在のNPB在籍選手。所属球団はNPB在籍球団のみ記す。また太字表記は全球団から本塁打達成時の所属球団。
選手 | 所属 球団 | 達成日 | 対戦 相手 | 備考 | 通算 本塁打 |
---|---|---|---|---|---|
江藤慎一 | 中日ドラゴンズ(1959年 - 1969年) ロッテオリオンズ(1970年 - 1971年) 大洋ホエールズ(1972年 - 1974年) 太平洋クラブライオンズ(1975年) ロッテオリオンズ(1976年) | 1975年6月1日 | ロッテ | 日本プロ野球初 セ・パ交流戦導入以前の達成 | 367本 |
富田勝 | 南海ホークス(1969年 - 1972年) 読売ジャイアンツ(1973年 - 1975年) 日本ハムファイターズ(1976年 - 1980年) 中日ドラゴンズ(1981年) | 1981年8月26日 | 巨人 | セ・パ交流戦導入以前の達成 | 107本 |
加藤英司 | 阪急ブレーブス(1969年 - 1982年) 広島東洋カープ(1983年) 近鉄バファローズ(1984年 - 1985年) 読売ジャイアンツ(1986年) 南海ホークス(1987年) | 1986年5月10日 | 広島 | セ・パ交流戦導入以前の達成 | 347本 |
金本知憲 | 広島東洋カープ(1993年 - 2002年) 阪神タイガース(2003年 - 2012年) | 2005年6月10日 | 日本ハム | ▲ セ・パ交流戦導入以降で初、単独リーグ所属での達成も初 | 476本 |
フェルナンド・セギノール | オリックス・ブルーウェーブ(2002年) 北海道日本ハムファイターズ(2004年 - 2007年) 東北楽天ゴールデンイーグルス(2008年 - 2009年) オリックス・バファローズ(2010年) | 2005年7月2日 | 楽天 | ◎ 外国人初、13球団から初 | 172本 |
フリオ・ズレータ | 福岡ダイエーホークス 福岡ソフトバンクホークス(2003年 - 2006年) 千葉ロッテマリーンズ(2007年 - 2008年) | 2007年4月1日 | ソフトバンク | ◎ | 145本 |
グレッグ・ラロッカ | 広島東洋カープ(2004年 - 2005年) ヤクルトスワローズ(2006年) オリックス・バファローズ(2007年 - 2010年) | 2007年4月5日 | ロッテ | ▲ | 116本 |
タフィ・ローズ | 大阪近鉄バファローズ(1996年 - 2003年) 読売ジャイアンツ(2004年 - 2005年) オリックス・バファローズ(2007年 - 2009年) | 2007年5月27日 | 巨人 | ▲ | 464本 |
アレックス・ラミレス | ヤクルトスワローズ(2001年 - 2007年) 読売ジャイアンツ(2008年 - 2011年) 横浜DeNAベイスターズ(2012年 - 2013年) | 2008年3月28日 | ヤクルト | ▲[注 3] | 380本 |
新井貴浩 | 広島東洋カープ(1999年 - 2007年) 阪神タイガース(2008年 - 2014年) 広島東洋カープ(2015年 - 2018年) | 2008年5月14日 | 広島 | ▲ | 319本 |
アレックス・カブレラ | 西武ライオンズ(2001年 - 2007年) オリックス・バファローズ(2008年 - 2010年) 福岡ソフトバンクホークス(2011 - 2012年) | 2008年5月9日 | 西武 | ◎ | 357本 |
谷佳知 | オリックス・ブルーウェーブ オリックス・バファローズ(1997年 - 2006年) 読売ジャイアンツ(2007年 - 2013年) オリックス・バファローズ(2014年 - 2015年) | 2008年6月3日 | オリックス | ◎ 日本人では初となる13球団からの達成 | 133本 |
タイロン・ウッズ | 横浜ベイスターズ(2003年 - 2004年) 中日ドラゴンズ(2005年 - 2008年) | 2008年6月6日 | 日本ハム | ▲ | 240本 |
北川博敏 | 阪神タイガース(1995年 - 2000年) 大阪近鉄バファローズ(2001年 - 2004年) オリックス・バファローズ(2005年 - 2012年) | 2008年6月23日 | ヤクルト | ▲ | 102本 |
和田一浩 | 西武ライオンズ(1997年 - 2007年) 中日ドラゴンズ(2008年 - 2015年) | 2009年5月19日 | 西武 | ◎ | 319本 |
多村仁志 | 横浜ベイスターズ(1995年 - 2006年) 福岡ソフトバンクホークス(2007年 - 2012年) 横浜DeNAベイスターズ(2013年 - 2015年) 中日ドラゴンズ(2016年) | 2009年6月2日 | 横浜 | ▲ | 195本 |
石井琢朗 | 横浜大洋ホエールズ 横浜ベイスターズ(1989年 - 2008年) 広島東洋カープ(2009年 - 2012年) | 2009年7月4日 | 横浜 | ▲ 通算100本塁打と同時達成 | 102本 |
二岡智宏 | 読売ジャイアンツ(1999年 - 2008年) 北海道日本ハムファイターズ(2009年 - 2013年) | 2010年5月19日 | 巨人 | ▲ | 173本 |
小笠原道大 | 日本ハムファイターズ 北海道日本ハムファイターズ(1997年 - 2006年) 読売ジャイアンツ(2007年 - 2013年) 中日ドラゴンズ(2014年 - 2015年) | 2010年6月4日 | 日本ハム | ◎ | 378本 |
ホセ・フェルナンデス | 千葉ロッテマリーンズ(2003年) 西武ライオンズ(2004年 - 2005年) 東北楽天ゴールデンイーグルス(2006年 - 2008年) オリックス・バファローズ(2009年) 埼玉西武ライオンズ(2010年 - 2011年) 東北楽天ゴールデンイーグルス(2012年) オリックス・バファローズ(2013年) | 2011年5月22日 | 阪神 | ◎ | 206本 |
内川聖一 | 横浜ベイスターズ(2001年 - 2010年) 福岡ソフトバンクホークス(2011年 - 2020年) 東京ヤクルトスワローズ(2021年 - 2022年) | 2011年6月19日 | 横浜 | ▲ | 196本 |
中村紀洋 | 近鉄バファローズ 大阪近鉄バファローズ(1992年 - 2004年) オリックス・バファローズ(2006年) 中日ドラゴンズ(2007年 - 2008年) 東北楽天ゴールデンイーグルス(2009年 - 2010年) 横浜ベイスターズ 横浜DeNAベイスターズ(2011年 - 2014年) | 2012年5月4日 | 中日 | ▲ セ・パ交流戦とは無関係に達成 | 404本 |
ターメル・スレッジ | 北海道日本ハムファイターズ(2008年 - 2009年) 横浜ベイスターズ(2010年 - 2011年) 北海道日本ハムファイターズ(2012年) | 2012年5月22日 | DeNA | 96本 | |
村田修一 | 横浜ベイスターズ(2003年 - 2011年) 読売ジャイアンツ(2012年 - 2017年) | 2012年8月4日 | DeNA | ▲ | 360本 |
トニ・ブランコ | 中日ドラゴンズ(2009年 - 2012年) 横浜DeNAベイスターズ(2013年 - 2014年) オリックス・バファローズ(2015年 - 2016年) | 2013年3月31日 | 中日 | 181本 | |
糸井嘉男 | 北海道日本ハムファイターズ(2004年 - 2012年) オリックス・バファローズ(2013年 - 2016年) 阪神タイガース(2017年 - 2022年) | 2013年5月11日 | 日本ハム | ▲ | 171本 |
相川亮二 | 横浜ベイスターズ(1995年 - 2008年) 東京ヤクルトスワローズ(2009年 - 2014年) 読売ジャイアンツ(2015年 - 2017年) | 2013年6月5日 | 楽天 | ▲ | 69本 |
吉村裕基 | 横浜ベイスターズ 横浜DeNAベイスターズ(2003年 - 2012年) 福岡ソフトバンクホークス(2013年 - 2018年) | 2014年5月29日 | DeNA | ▲ 全打順本塁打も達成 | 131本 |
アーロム・バルディリス | 阪神タイガース(2008年 - 2009年) オリックス・バファローズ(2010年 - 2013年) 横浜DeNAベイスターズ(2014年 - 2015年) | 2015年5月27日 | オリックス | [1] | 93本 |
大引啓次 | オリックス・バファローズ(2007年 - 2012年) 北海道日本ハムファイターズ(2013年 - 2014年) 東京ヤクルトスワローズ(2015年 - 2019年) | 2015年9月10日 | DeNA | 現時点で達成者の中で最少の通算本塁打数 | 48本 |
中島宏之 | 西武ライオンズ 埼玉西武ライオンズ(2001年 - 2012年) オリックス・バファローズ(2015年 - 2018年) 読売ジャイアンツ(2019年 - 2023年) 中日ドラゴンズ(2024年 - ) | 2016年9月22日 | 西武 | ◎ 現時点で最後の13球団から達成者 | (現役) |
ホセ・ロペス | 読売ジャイアンツ(2013年 - 2014年) 横浜DeNAベイスターズ(2015年 - 2020年) | 2017年6月6日 | 楽天 | 198本 | |
福留孝介 | 中日ドラゴンズ(1999年 - 2007年) 阪神タイガース(2013年 - 2020年) 中日ドラゴンズ(2021年 - 2022年) | 2018年6月14日 | 日本ハム | ▲ | 285本 |
丸佳浩 | 広島東洋カープ(2008年 - 2018年) 読売ジャイアンツ(2019年 - ) | 2019年4月17日 | 広島 | [注 4] | (現役) |
大田泰示 | 読売ジャイアンツ(2009年 - 2016年) 北海道日本ハムファイターズ(2017年 - 2021年) 横浜DeNAベイスターズ(2022年 - ) | 2019年6月9日 | 阪神 | (現役) | |
浅村栄斗 | 埼玉西武ライオンズ(2009年 - 2018年) 東北楽天ゴールデンイーグルス(2019年 - ) | 2019年6月14日 | 広島 | 全打順本塁打も達成 | (現役) |
ブランドン・レアード | 北海道日本ハムファイターズ(2015年 - 2018年) 千葉ロッテマリーンズ(2019年 - 2022年) | 2019年6月22日 | ヤクルト | 213本 | |
ステフェン・ロメロ | オリックス・バファローズ(2017年 - 2019年) 東北楽天ゴールデンイーグルス(2020年) オリックス・バファローズ(2021年) | 2020年7月22日 | オリックス | 96本 | |
長野久義 | 読売ジャイアンツ(2010年 - 2018年) 広島東洋カープ(2019年 - 2022年) 読売ジャイアンツ(2023年 - ) | 2020年9月22日 | 巨人 | (現役) | |
ゼラス・ウィーラー | 東北楽天ゴールデンイーグルス(2015年 - 2020年) 読売ジャイアンツ(2020年 - 2022年) | 2021年5月25日 | 楽天 | 135本 | |
ウラディミール・バレンティン | 東京ヤクルトスワローズ(2011年 - 2019年) 福岡ソフトバンクホークス(2020年 - 2021年) | 2021年6月13日 | ヤクルト | NPB通算300本塁打・NPB通算1000安打と同時達成 | 301本 |
中田翔 | 北海道日本ハムファイターズ(2008年 - 2021年) 読売ジャイアンツ(2021年 - 2023年) 中日ドラゴンズ(2024年 - ) | 2022年5月28日 | 日本ハム | (現役) | |
森友哉 | 埼玉西武ライオンズ(2014年 - 2022年) オリックス・バファローズ(2023年 - ) | 2023年6月17日 | ヤクルト | [2] | (現役) |
山川穂高 | 埼玉西武ライオンズ(2014年 - 2023年) 福岡ソフトバンクホークス(2024年 - ) | 2024年4月13日 | 西武 | 12球団本拠地全球場本塁打も達成。 | (現役) |
近藤健介 | 北海道日本ハムファイターズ(2012年 - 2022年) 福岡ソフトバンクホークス(2023年 - ) | 2024年6月15日 | 阪神 | (現役) | |
鈴木大地 | 千葉ロッテマリーンズ(2012年 - 2019年) 東北楽天ゴールデンイーグルス(2020年 - ) | 2024年6月16日 | 広島 | (現役) |
あと1球団で達成する選手
NPB所属の現役選手のみ。現所属球団からのホームランでの達成は除く。
- 炭谷銀仁朗(埼玉西武ライオンズ) - 巨人
- 秋山翔吾(広島東洋カープ) - 西武
- 岡大海(千葉ロッテマリーンズ) - DeNA
- ネフタリ・ソト(千葉ロッテマリーンズ) - DeNA
- 阿部寿樹(東北楽天ゴールデンイーグルス) - 西武
参考までに、仮に中村剛也(埼玉西武ライオンズ)がNPB他球団に移籍し、対西武戦において本塁打を打った場合、大阪近鉄バファローズを含む13球団からの本塁打を達成することになると同時に、最後の同記録達成者になる[注 5]。
メジャーリーグベースボール
全30球団から本塁打を記録すると達成できる。日本プロ野球に比べて移籍の頻度が多いものの、球団数が多く交流戦が少ないため、達成は非常に困難である。2024年現在、マニー・ラミレス、サミー・ソーサ、マイク・ピアッツァなど30人が達成している。
韓国プロ野球
全10球団から本塁打を記録すると達成できる。解散した3球団を含めることもある。韓国プロ野球は単一のKBOリーグのみであるため、日本より達成は容易である。
台湾プロ野球
全5球団から本塁打を記録すると達成できる。解散した4球団を含めることもある。
脚注
注釈
- ^ 2004年に大阪近鉄バファローズがオリックス・バファローズとの合併により消滅したこと、および2005年シーズンから東北楽天ゴールデンイーグルスがパシフィック・リーグに参加したことにより、13球団からの本塁打を記録した者と近鉄とは対戦したことがない者が存在する。
- ^ 中村は2009年に楽天に移籍した時点で、中日戦で本塁打を打てば全球団本塁打達成であったが、楽天在籍時の交流戦では中日から本塁打を打てず、横浜(DeNA)移籍後にリーグ戦で中日から本塁打を打って達成した。
- ^ 2001年の日本シリーズで近鉄から本塁打を記録している。
- ^ FA権行使により広島から読売へ移籍した際の人的補償選手である長野久義も後に達成している。
- ^ 大阪近鉄最終年の2004年以前にプロ入りし、2023年現在、現役の野手は記録達成済の中島及び中村も含め4名となったが、2004年以前はセ・リーグ球団のみ在籍の青木宣親と、対戦歴があり、且つ中村同様移籍の可能性はあっても、対近鉄戦での本塁打がない栗山巧はこの記録を達成することは不可能。
出典
関連項目
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