ユピテル、ネプトゥヌスとプルート

『ユピテル、ネプトゥヌスとプルート』
イタリア語: Giove, Nettuno e Plutone
作者カラヴァッジョ
製作年1597年ごろ
種類石膏の天井に油彩
寸法300 cm × 180 cm (120 in × 71 in)
所蔵ヴィッラ・ルドヴィーシ、ローマ

ユピテル、ネプトゥヌス、プルート』(伊: Giove, Nettuno e Plutone)は、イタリアバロック期の巨匠ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョが1597年ごろ制作した絵画である。ローマのヴィッラ・ルドヴィーシのかつての狩猟小屋、ヴィッラ・アウローラにある。珍しく石膏油彩で描かれている。したがって、フレスコ画ではないが、誤って、そのように言及されることもある。油彩画は通常、カンヴァス上に描かれるが、時折、板上に描かれることもある。

初期の伝記作家によると、カラヴァッジョの目標の一つは、遠近法を把握していないと主張する批評家を否定することであった。 三人の人物は、可能な限り最も劇的な前面短縮法 (foreshortening) で描かれている。人物たちは、カラヴァッジョが常に生身のモデルを前に描いたという主張とは矛盾している。画家は三人の神すべてに自分の肖像を当てはめたようである[1]

絵画は、カラヴァッジョのパトロンであるフランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿のために、後にヴィッラ・ルドヴィーシとして知られるようになった、枢機卿の郊外の館「ガーデン・カジノ」の天井に描かれた。枢機卿は錬金術に強い関心を持っていた。カラヴァッジョは、本作でパラケルスス錬金術の三重の寓話を描いている。ユピテル(英語で「木星」も意味する)は硫黄空気を表し、ネプトゥヌス (英語で「海王星」も意味する)は水銀水を表し、プルート(英語で「冥王星」も意味する)は土を表している。それぞれの人物は自身の動物によって認識できる。ユピテルは鷲によって、ネプトゥヌスはヒッポカムポスによって、そして、プルートは三頭の犬、ケルベロスによって認識される。ユピテルは、太陽が地球の周りを回転する天球を動かすために手を差し伸べている。ガリレオ・ガリレイはデル・モンテ枢機卿の友人であったが、当時はまだ宇宙論に足跡を残してはいなかった。

ヴィッラ・アウローラはルドヴィーシの所有物であり、要望に応じて訪問可能である[2]

脚注

  1. ^ “U.S.-Born Princess Opens Historic Villa to the Public”. New York Times 15 July 2010. 2016年11月20日閲覧。
  2. ^ “Villa Aurora, Rome's best kept secret?”. Minor Sights. 2016年11月20日閲覧。

外部リンク

  • Rome Artlover: Casino di Villa Lodovisi presso Porta Pinciana
  • Minor Sights: Villa Aurora- Rome's best kept secret?
1600年以前の作品
  • 病めるバッカス』(1593年頃)
  • 果物籠を持つ少年』(1593年頃)
  • トランプ詐欺師』(1594年頃)
  • 『悔悛するマグダラのマリア』(1594年–1595年頃)
  • 『奏楽者たち』(1595年頃)
  • トカゲに噛まれた少年』(1594年–1596年頃)
  • 『バッカス』(1596年頃)
  • 『ユピテル、ネプトゥヌスとプルート』(1597年頃)
  • 『メドゥーサの首』(1597年-1598年頃)
  • 『アレクサンドリアの聖カタリナ』(1598年頃)
  • 『マルタとマグダラのマリア』(1598年頃)
  • 『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』(1598年-1599年頃)
  • 『ダヴィデとゴリアテ』(1599年頃)
1600年-1606年の作品
  • 聖マタイの召命』(1599年-1600年)
  • 『エマオの晩餐(ロンドン)』(1601年)
  • 愛の勝利』(1601年–1602年)
  • 『聖トマスの不信』(1601年–1602年)
  • 『キリストの捕縛』(1602年頃)
  • 『祈る聖フランチェスコ』(1602年-1604年頃)
  • 『キリストの埋葬』(1603年–1604年)
  • 『聖母の死』(1604年-1606年頃)
  • 『ロレートの聖母』(1604年-1606年頃)
  • 『聖アンナと聖母子』(1605年–1606年)
  • 書斎の聖ヒエロニムス』(1605年–1606年頃)
  • 『エマオの晩餐(ミラノ)』(1606年)
  • 『キリストの荊冠』(1604年あるいは1607年)
1607年以降の作品
  • 『ロザリオの聖母』(1606年–1607年頃)
  • 『キリストの鞭打ち』(1607年)
  • 『慈悲の七つの行い』(1607年)
  • 『聖アンデレの磔刑』(1607年)
  • アロフ・ド・ヴィニャクールと小姓の肖像』(1607年–1608年)
  • 『洗礼者聖ヨハネの斬首』(1608年)
  • 『眠るアモール』(1608年)
  • 『ラザロの復活』(1609年頃)